似笑非笑(じしょうひしょう)は、30年近く前に高木一行先生が仰っていた言葉で、確かに怖い雰囲気はあるがいつも微笑んでいる様な表情をしていた。
先日、触操非操(しょくそうひそう)の稽古をする時に、同様の言葉として似笑非笑を挙げた。しかし「え? 似笑非笑って何ですか?」との質問を受けた。
当たり前の様に使っていた言葉だが、知らない人もいると思うので解説したいと思う。

似笑非笑(じしょうひしょう)は「笑いに似て笑いに非ず」と言う意味だ。
内的エネルギーの鍛錬、練功が進むと、口角があがり笑みに近い表情になる。当時は、どの様なカラクリでそうなるのか? の解説も無かったため意味がよく分からなった。
しかし、練功が進むとそのカラクリに気付けた。二つある。
一つ目は、頭部の膨張(腰腹同量メソッド)。
全身膨張を中庸・均等に行うが、同時に頭部も膨張させる。頭部の上半分は口腔内の軟口蓋をフワッと全体的に膨らませる。下半分も口腔内を全体的にフワッと膨らませる。
上半分と下半分と分解して解説したが、結局は口腔内全体を中庸・均等に膨らませる。すると口角が若干、上がる。これが一つ目だ。

二つ目は、エネルギーの上昇。
練功を積むと、居つきや無駄な力み、緊張が減る。滞っている箇所が減るにつれて、上昇のエネルギーが生じる。
背中側の後部、お腹側の前部、それから身体内部(真ん中)全てに於いて上昇エネルギーが生じる。それに影響を受けて口角が上がる。
ごく普通に見ると笑っている様に見えるが、笑っている訳では無い。今一度、自分はどうなっているのかを確認してみると新たな発見があるかも知れない。
念のために、笑みを浮かべれば良いのか? と言うと、それでは順番が逆なので間違え。

意味は全く違うが似たような言葉として触操非操(しょくそうひそう)がある。
相手に「触れて操作する触れずに操作する」と言う意味。
合気道上級者のごく一部の人が、この考え方に気付いている、もしくは自然に行っている技法だ。
触れている部分を直接、操作して技をかけようとすると抵抗されてしまうので、触れている箇所とは違う箇所を操作すると抵抗され難く、技が効き易い。

例えば…
・相手に腕を掴まれているけど、その腕を動かす目標にせず、腰と脚を操作するつもりで技をかける
・相手の手首を掴んでいるけど、その手首を動かす目標にせず、脚を操作するつもりで技をかける
これは居ついてても成立する技術だ。なので居つきをほぼ重要視しない合気道でも使える。もちろん居ついていない方がより良いことは言うまでもない。
この技術も、上級者になればなる程、考えずに自然に行っている。もちろん合気をふんだんに活用して。
