前編で述べた「相手の体内に内発勁を起こす」という技術。これが単なる破壊の技ではなく、究極の「癒やし」にも直結するという事実に直面したのは、私が主宰する『Healing & Amuletプログラム』のオンラインレッスンでのことだった。
その日、私は遠隔施術の指導を行っており、生徒が「施術が上手くなりたい」という熱心な思いから、私自身を実験台にしての施術を行なっていた。
施術中の違和感
その時、私の内部感覚は極めて明確な「違和感」を捉えた。
生徒が「先生の痛みを取ろう」「治してやろう」と強く意図した瞬間、受け手である私の細胞がそれを「外部からの干渉(異物)」として察知し、無意識のうちに堅く「防御」の態勢に入ったのである。
これは非常に重要な発見であった。「治そう」とする作為的な意図は、受け手の細胞からすれば「いじられている」という不快感と同義なのだ。
「治そう」という、明らかにその人のためを思っての好意的な働きかけなのに…
身体の防衛本能が働くため、どれほど優れた気やエネルギーを送ろうとも、それは表面で弾かれ、決して深部には浸透しない。
そこで私は、「内発勁」を用いて施術する提案をした。作為を捨て、ただ相手の内部に波を起こすことだけをして欲しいと。
すると驚くべきことに、私の細胞は一切の防御反応を示さず、むしろ「圧倒的に気持ちが良い」「いつまでもやってほしい」と細胞が歓喜するような反応を見せたのである。
なぜか? 考察してみると…
内発勁によるアプローチは、外から何かを押し付ける(与える)行為ではない。その人自身が本来持っている「生命力を強力に誘発させる」のみ。こちらに「いじろう」「操作しよう」とするエゴイズム(居つき)が存在しないため、細胞は一切の警戒を解き、スムーズにその波を受け入れるのである。
あたかもその細胞が自ら行った様なものとなる。
生命科学の視点から考察
非常に興味深い仮説が浮かび上がる。
細胞の内部には、生体エネルギー(ATP)を産生する「ミトコンドリア」という無数の発電所が存在する。
近年のバイオフィールド科学やメカノトランスダクション(細胞の機械受容)の研究では、特定の微細な振動や生体エネルギーが、細胞の代謝機能を直接的に活性化させる可能性が示唆されている。
我々が内発勁や強圧微動術によって引き起こしているのは、まさにこの「ミトコンドリアの覚醒」ではないだろうか?
外からの強制的な操作ではなく、微細な波の共鳴によって、相手の細胞自身が「元気を取り戻すプロセス」を自律的に始めているのだと考えられる。
この技術は、日常的な痛みの除去においても圧倒的な即効性を見せる。
先日の武芸塾の稽古でのこと。「右手の指が痛い」と訴える塾生に対し、私はあえて患部である右手には一切触れなかった。
塾生の「左手」に触れ、そこから相手の体内に内発勁を起こし、右手指へと波紋を伝達した。患部を直接いじらないことで、脳の警戒心(痛いから触られたくないという防御)を完全にスルーした。 結果、数分後には右手指の痛みが消え去っていた。
「相手の細胞に防御させず、内側から生体エネルギーを誘発させる」
これは、武術においては相手の構造を崩壊させる究極の「無力化」であり、療術においては相手の生命力を蘇らせる究極の「治癒」である。
一見すると真逆にある「活殺」の技術は、全く同じ一つの理へと統合されるのである。
故・高木一行先生が生前「一般公開できない危険な技術が数百種類も見つかっている」と仰っていたが、正しく、日々の正中心練磨によって見出される技術は、無尽蔵のように思えてくる。
